EPS(1株当たり利益)とは|PERとの関係と見方
決算のニュースで「EPSが予想を上回った」という表現をよく目にします。この記事では、EPSの計算方法、PERとの関係、推移の見方、種類の違い、そして見るときの注意点を、架空の数字を使って順番に整理します。
EPSとは何か
EPSは「株を1株持っていると、その会社の利益のうちいくら分が自分の取り分になるか」を表す数字です。会社全体の利益を、株1株あたりに割り振って計算します。
計算式は次のとおりです。
たとえば純利益が10億ドル、発行済株式数が2億株の架空の会社なら、EPSは5ドルです。会社の規模が違っても、1株あたりにそろえることで比べやすくなります。
純利益とは、売上から費用や税金をすべて差し引いて最後に残った利益のことです。英語では「Net Income」と書かれます。米国企業は四半期(3か月)ごとに決算を発表し、そのたびにEPSも公表されます。
EPSとPERの関係
EPSは、株価の割高・割安をはかるPER(株価収益率)の土台になる数字です。PERは株価をEPSで割って求めます。
株価100ドル、EPS5ドルの架空の銘柄なら、PERは20倍です。「今の利益の20年分の値段がついている」と読むことができます。
| 架空の銘柄 | 株価 | EPS | PER |
|---|---|---|---|
| A社 | 100ドル | 5ドル | 20倍 |
| B社 | 100ドル | 2ドル | 50倍 |
| C社 | 40ドル | 4ドル | 10倍 |
株価が同じでも、EPSが違えばPERは大きく変わります。逆に言えば、株価が動かなくてもEPSが増えればPERは下がります。株価が上がる理由の多くは、このEPSの成長だと考えられています。
PERには、過去1年の実績EPSを使う「実績PER」と、アナリストの予想EPSを使う「予想PER」があります。どちらのEPSを使っているかで数字が変わるため、比べるときはそろえることが大切です。
EPSの見方は「推移」が基本
EPSは1回分の数字だけ見ても判断しにくい指標です。何年分かを並べて、増えているか、安定しているかを見るのが基本です。
| 年 | X社のEPS | Y社のEPS |
|---|---|---|
| 1年目 | 2.00ドル | 3.00ドル |
| 2年目 | 2.20ドル | 1.20ドル |
| 3年目 | 2.42ドル | 4.10ドル |
| 4年目 | 2.66ドル | 2.50ドル |
架空のX社は毎年約10%ずつ着実に伸びています。Y社は年によって大きく上下しています。4年目の数字だけならY社のほうが少し低い程度ですが、安定感はまったく違います。
見るときのポイントは次の3つです。
- 成長率:前年と比べて何%増えたか(前年比、YoYとも書く)
- 安定性:赤字の年や急な落ち込みがないか
- 予想との差:アナリスト予想を上回ったか、下回ったか
決算発表のときに株価が大きく動くのは、3つ目の「予想との差」が注目されるためです。詳しくは決算の基本で解説しています。
希薄化後EPSと調整後EPS
決算資料には、EPSが何種類も載っていることがあります。初心者がまず知っておきたいのは次の3つです。
| 種類 | 英語表記 | 意味 |
|---|---|---|
| 基本的EPS | Basic EPS | 今ある株数で割ったEPS |
| 希薄化後EPS | Diluted EPS | 将来増えうる株数も含めて割ったEPS |
| 調整後EPS | Adjusted EPS | 一時的な損益などを除いて会社が独自に計算したEPS |
希薄化とは、ストックオプション(社員に与える株を買う権利)などで株数が増え、1株あたりの取り分が薄まることです。希薄化後EPSは、その分を見込んだ控えめな数字になります。
調整後EPSは、会計基準(米国ではGAAPと呼ばれるルール)に沿わない、会社独自の数字です。本業の実力を見やすくする目的がありますが、何を除くかは会社が決めます。ニュースの「予想を上回った」が、どちらのEPSの話なのかを確かめましょう。
自社株買いでもEPSは増える
EPSは割り算なので、分子の利益が増えなくても、分母の株数が減れば増えます。その代表が自社株買い(会社が自分の株を市場から買い戻すこと)です。
- 純利益10億ドル、株数2億株 → EPSは5ドル
- 自社株買いで株数が1.6億株に減る → EPSは6.25ドル
この架空の例では、利益は同じなのにEPSが25%増えています。自社株買いは株主還元の一つで、悪いことではありません。ただ「EPSが伸びた理由が利益の成長なのか、株数の減少なのか」は分けて考える必要があります。
EPSを見るときの注意点
- 一時的な利益に注意:資産の売却益などで、その年だけEPSが大きく増えることがあります。
- 業種で水準が違う:EPSの金額そのものは、会社ごとの株数で決まります。違う会社のEPSの大小を比べても意味は薄く、成長率やPERで比べます。
- 赤字の会社ではPERが使えない:EPSがマイナスだとPERは計算できません。成長途中の会社では、売上の伸びなど別の指標も見ます。
- 過去の数字である:実績EPSは過去の結果です。将来の利益を約束するものではありません。
EPSは便利な指標ですが、これだけで投資判断はできません。株価はEPS以外にも、金利や市場全体の雰囲気など多くの要因で動きます(→株価が動く理由)。
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よくある質問
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Q. EPSとは何ですか?
A. EPS(1株当たり利益)は、会社の純利益を発行済株式数で割った数字です。株を1株持っていると、会社の利益のうちいくら分が自分の取り分になるかを表します。会社の規模が違っても比べやすくなるのが特徴です。
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Q. EPSとPERはどういう関係ですか?
A. PER(株価収益率)は株価をEPSで割って求めます。株価100ドル、EPS5ドルならPERは20倍です。株価が変わらなくてもEPSが増えればPERは下がるため、両者はセットで見るのが基本です。
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Q. EPSが高い会社ほど良い会社ですか?
A. そうとは限りません。EPSの金額は会社ごとの株数で決まるため、違う会社のEPSの大小を比べても意味は薄いです。同じ会社のEPSが何年も続けて伸びているかという推移を見るのが基本です。
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Q. 調整後EPSとは何ですか?
A. 一時的な損益などを除いて、会社が独自に計算したEPSです。本業の実力を見やすくする目的がありますが、何を除くかは会社が決めます。会計基準に沿ったEPSとあわせて確認すると、見方が偏りにくくなります。
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Q. 自社株買いをするとEPSはどうなりますか?
A. 自社株買いで発行済株式数が減ると、利益が同じでもEPSは増えます。純利益10億ドルで株数が2億株から1.6億株に減れば、EPSは5ドルから6.25ドルになります。EPSの伸びが利益の成長によるものか、株数の減少によるものかを分けて見ることが大切です。
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関連ガイド
本記事は投資の学習を目的とした一般的な情報提供であり、特定の銘柄や売買手法を推奨するものではありません。記事中の数値は説明のための架空の例です。EPSなどの指標は過去の業績や予想にもとづくものであり、将来の株価を保証するものではありません。投資には元本割れのリスクがあります。実際の投資判断はご自身の責任で行ってください。カブテラは仮想資金による投資シミュレーションであり、実際の金融商品の売買は行いません。