米国企業の決算書の読み方|損益計算書の基本
米国企業の決算書は英語で書かれているため、難しそうに感じるかもしれません。しかし損益計算書の構造は日本企業とほぼ同じで、主な項目の英語を覚えれば読めるようになります。この記事では、損益計算書の流れ、英語の項目名、利益率の計算、決算書の入手先、読むときの注意点を、架空の会社の数字を使って解説します。
損益計算書とは
損益計算書は、会社の「成績表」にあたる書類です。四半期(3か月)や1年といった期間の中で、どれだけ稼いで、どれだけ使い、最後にいくら残ったかが分かります。
決算書には主に3つの種類があり、それぞれ役割が違います。
| 書類 | 英語 | 分かること |
|---|---|---|
| 損益計算書 | Income Statement | 一定期間の売上と利益 |
| 貸借対照表 | Balance Sheet | ある時点の資産と借金 |
| キャッシュフロー計算書 | Cash Flow Statement | お金の実際の出入り |
株価は利益の成長と結びつきやすいため、初心者が最初に読むなら損益計算書です。決算ニュースで話題になる売上高やEPS(1株当たり利益)も、この書類から出てきます。
売上から純利益までの流れ
損益計算書は、一番上の売上高から費用を順に差し引き、一番下の純利益にたどり着く構造です。架空の会社の1年分で見てみましょう。
| 項目 | 金額 | 説明 |
|---|---|---|
| 売上高 | 1,000億ドル | 商品やサービスを売った総額 |
| 売上原価 | -600億ドル | 商品を作る・仕入れるのにかかった費用 |
| 売上総利益 | 400億ドル | いわゆる粗利 |
| 営業費用 | -250億ドル | 研究開発費、販売費、管理費など |
| 営業利益 | 150億ドル | 本業で稼いだ利益 |
| 営業外の損益 | -10億ドル | 支払利息や投資の損益など |
| 税引前利益 | 140億ドル | 税金を払う前の利益 |
| 法人税等 | -28億ドル | 会社にかかる税金 |
| 純利益 | 112億ドル | 最終的に残った利益 |
この中で特に大事なのが、本業の力を表す営業利益です。純利益は、資産の売却益など一時的な要因で大きく動くことがあります。本業が伸びているかは、営業利益で確かめるのが基本です。
損益計算書の最後には、純利益を株数で割ったEPSも載っています。
英語の項目名を覚えよう
米国企業の決算書を読むには、主な項目の英語を知っておくと便利です。同じ意味でも会社によって表記が少し違います。
| 日本語 | よく使われる英語 |
|---|---|
| 売上高 | Revenue / Net Sales |
| 売上原価 | Cost of Revenue / Cost of Goods Sold |
| 売上総利益 | Gross Profit |
| 研究開発費 | Research & Development |
| 販売費及び一般管理費 | Selling, General & Administrative |
| 営業利益 | Operating Income |
| 税引前利益 | Income Before Income Taxes |
| 純利益 | Net Income |
| 1株当たり利益 | Earnings Per Share(EPS) |
決算書の金額は「in millions(百万ドル単位)」のように省略して書かれていることが多いです。表の上や注記にある単位を最初に確かめましょう。
利益率で「稼ぐ力」を比べる
利益の金額だけでは、規模の違う会社を比べにくくなります。そこで売上高に対する利益の割合、つまり利益率を計算します。
- 売上総利益率 = 売上総利益 ÷ 売上高。先ほどの例では40%
- 営業利益率 = 営業利益 ÷ 売上高。例では15%
- 純利益率 = 純利益 ÷ 売上高。例では11.2%
売上総利益率が高い会社は、原価に対して高い値段で売れている、つまり商品に強みがあると考えられます。営業利益率は、本業全体の効率を表します。
決算書はどこで読めるか
米国の上場企業は、決算書を米国証券取引委員会(SEC)に提出し、誰でも無料で読めるよう公開しています。
- 10-K:年に1回の年次報告書。最も詳しい
- 10-Q:四半期ごとの報告書
- 決算発表資料:各社の投資家向けサイト(IRサイト)に載る要約版
初心者は、まず各社のIRサイトにある決算発表資料(プレスリリース)から読むのが手軽です。損益計算書が1ページにまとまっていることが多いからです。発表の時期や流れは決算の基本で解説しています。
読むときの注意点
損益計算書を読むときは、次の点に気をつけましょう。
- 前年の同じ期と比べる:小売など季節で売上が変わる業種では、直前の四半期と比べると判断を誤ります。前年の同じ四半期と比べるのが基本です。
- GAAPと非GAAPを区別する:GAAP(ギャップ)は米国の会計基準です。会社は、一時的な費用などを除いた独自の「非GAAP」の数字も発表します。どちらの数字かを確かめましょう。
- 一時的な損益を見分ける:事業の売却益やリストラ費用など、毎年は起きない項目で利益が大きく動くことがあります。
- 利益と現金は別:損益計算書の利益は、実際に入ったお金と一致しないことがあります。余裕があればキャッシュフロー計算書もあわせて見ます。
決算の数字がよくても、市場の予想に届かなければ株価は下がることがあります。数字の良し悪しと株価の反応は別のものだと考えておきましょう(→株価が動く理由)。
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よくある質問
-
Q. 損益計算書とは何ですか?
A. 一定期間に会社がいくら売り上げ、費用を差し引いていくら利益が残ったかを示す決算書です。英語ではIncome Statementと呼ばれます。上から売上高、売上総利益、営業利益、純利益の順に並んでいます。
-
Q. 損益計算書でまず見るべき項目はどれですか?
A. 初心者は売上高、営業利益、純利益の3つから見るのがよいでしょう。特に営業利益は本業で稼いだ利益なので、会社の実力を表します。金額だけでなく、前年の同じ期からの伸び率もあわせて確認します。
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Q. 営業利益と純利益はどう違いますか?
A. 営業利益は本業で稼いだ利益です。純利益は、そこから支払利息などの営業外の損益や法人税を差し引いた、最終的に残った利益です。純利益は一時的な要因で大きく動くことがあるため、本業の力は営業利益で見ます。
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Q. 米国企業の決算書はどこで読めますか?
A. 米国の上場企業は、年次報告書の10-Kや四半期報告書の10-Qを米国証券取引委員会(SEC)に提出し、無料で公開しています。初心者は、各社の投資家向けサイトに載る決算発表資料から読むと手軽です。
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Q. GAAPと非GAAPの違いは何ですか?
A. GAAPは米国の会計基準に沿った数字です。非GAAPは、一時的な費用などを除いて会社が独自に計算した数字です。本業の実力を見やすくする目的がありますが、何を除くかは会社が決めるため、両方を見比べることが大切です。
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関連ガイド
本記事は投資の学習を目的とした一般的な情報提供であり、特定の銘柄や売買手法を推奨するものではありません。記事中の数値は説明のための架空の例です。決算書の数字は過去の業績であり、将来の業績や株価を保証するものではありません。投資には元本割れのリスクがあります。実際の投資判断はご自身の責任で行ってください。カブテラは仮想資金による投資シミュレーションであり、実際の金融商品の売買は行いません。